質の高い資材を安価で供給し
鉄道業界を下支えする

Business. 08
鉄道資材事業

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安全で快適な運行を支える部品を調達

鉄道車両が数えきれないほどの部品で構成されているのは言うまでもない。モーターや台車といった走行に必要な機能をはじめ、シートや吊革などの車内設備、さらには空調や広告関連の設備も必要だ。こうした資材を取り扱っているのが、彼がリーダーを務めるチームである。
日常の業務は、グループ内の車両製造やメンテナンスに携わる会社、あるいは仕入先となるメーカーとの折衝が中心だ。それに加えて定期的な情報収集も重要で、すぐに入手できず生産に長い期間を要する資材もあることから、先を見越して早めに手を打たなければならない場合もある。
調達した資材のほとんどはグループ内の車両製造会社に提供され、各地の民営鉄道向けに新造される車両の部品となる。取引先は大手民鉄から地方の小さな民鉄まで幅広い。彼らの働きが、全国の鉄道事業者や利用者を支えているのだ。

地方の鉄道事業者に適した仕組みを

また、量はそれほど多くないものの、地方の鉄道事業者に対し部品の供給を行うこともある。JR東日本から譲渡された中古車両が走っている路線は各地にあるが、メンテナンスの際に細かい部品まで調達するのは容易ではない。こうした場合はJRに申請して図面を閲覧させてもらい、部品の情報を得てメーカーから見積を依頼する。
地方の鉄道事業者だと予算に余裕がない場合がほとんどで、コストやロットの問題が生じる。例えば1個しか必要ないのにロットは10個とか100個という場合もある。
「JR向けと一緒に民鉄向けのものを製造してもらうとか、情報を共有してロットを集約できれば質の高い資材を安価で供給できるのではないでしょうか。現段階ではまだうまく連携が取れていませんが、今後新たな仕組みを作っていきたいと思っています」。

インドネシアの社会の発展にも貢献

彼らのチームでは、インドネシアで走る車両の部品の仕入れも行っている。これはJR東日本で活躍していた車両がインドネシアの鉄道会社に譲渡されたためで、その数は800両以上にのぼる。
「消耗品もありますし、現地でのメンテナンスの際に必要な部品もあります。もともとJRで走っていてJRでメンテナンスしていた車両ですから、こうした資材も安全性の観点から日本国内のメーカーから調達することになるわけです」。
仕入れた資材はJR東日本グループのメンテナンスを担当する会社に日本国内で引き渡され、それからインドネシアへと輸出される。彼らの仕事は、遠く離れたインドネシアの人々の暮らしにも結びついているのだ。
将来的には東南アジアで計画されている新線建設事業など、インドネシア以外のプロジェクトにも参画したいと彼は考えている。

地域に密着した交通を守るために協力したい

社会のインフラに関わるJR東日本グループには多彩な業種の企業があり、連携によって1社ではできないことも可能になる。彼の関わる仕事でも、修繕用の部品があっても修繕の仕方がわからないので教えてほしいというような依頼が来ることがあり、グループ会社に交換のノウハウを有する専門家を派遣してもらうなどの対応をしている。連携することでグループとして利益を創出することができるわけだ。
もちろん収益の大きさも重要だが、彼らの仕事の価値はそれだけではない。
「コロナ禍もあって地方の民鉄さんはいろいろとお困りのことが多いですから、ビジネスの規模に関係なく、何かお助けできないかという思いは常に持っています。JRも地域に密着した事業展開をしているわけですし、協力できることはしていきたいですね」。