地域社会の魅力を発掘
のもの事業とともに歩む

Business. 07
コンシューマー商品事業

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JR東日本商事にしかできない
地域活性化プロジェクト

JR東日本の「地域再発見プロジェクト」の一環として始まった“のもの事業”。鉄道網や首都圏への販路を活かし、地産品を使ったオリジナル商品や魅力的な地産品の発掘でビジネス展開している。地域活性化を目的としたこの事業に立ち上げから関わり、海外出店まで手掛けている。
「JR東日本が描く地域活性化に携わり、人とモノとの循環を促しています。その中でも、モノを通じて地域の魅力を伝え、モノを売ることで、地域のメーカーに還元していきたいと考えています」。
“のもの事業”はJR東日本が運営していた産直市からスタートした。その後、各地域から常設店舗を要望する声がカタチとなり、2012年にJR上野駅へ常設店舗「のもの上野店」を開業した。秋葉原駅、東京駅と店舗を拡大していく中で、彼女は地産品の魅力に取りつかれていった。常設店舗を展開しながら市場の分析を行うと、若い女性など、地産品の魅力に触れる機会が少ない層にも訴求する必要性が見えてきた。

商品開発のプロが模索した地産品の新しいあり方

そのような中、女性3人のチームから始まったのが「おやつTIMES」だ。より多くの消費者に地産品を届けるために、プライベート・ブランド(PB)開発としてスタートした「おやつTIMES」の検討には、商品開発のプロ集団“のものディレクションユニット”が結成され、総合プロデューサーにNOSIGNERの太刀川英輔氏が就任した。さらに、マーケティングにオレンジページ、デザインにDODO DESIGN、販売にJR東日本リテールネット(現、JR東日本クロスステーション)、アドバイザーに紀ノ国屋が加わり、ともに商品開発へ取り組んだ。彼女たちが所属する“のもの事業部”は商品企画・開発を担当し、商品化したいお菓子をチームメンバーとともに調査・生産調整を行い、開発にまつわる全般に携わった。
「開発期間は約半年という短い時間の中、急ピッチで進んでいきました。商品を通じて地域の価値を伝えるためにどうしたら良いのか。のものディレクションユニットに参画いただいたプロの方々と考え抜き、ベストな商品のあり方を模索しました」。

世界へ、日本の魅力の発信基地

さらに2019年には、シンガポールへ海外出店を果たし、地産品の輸出にも挑戦している。「東北の玄関口」と言われる上野駅から始まった店舗は、「東南アジアの玄関口」であるシンガポールのチャンギ国際空港内に日本の地産品の魅力を伝える発信基地を設けた。
「シンガポールのような温暖な気候では、果物を使用したさわやかな地産品が人気です。立地ごとに適した商品展開をしていくことが地域の魅力をお客さまに感じていただくきっかけになると期待しています」。
一方で、“のもの事業”のOEM担当としてクライアントの要望に基づいた商品の提案・設計・発売まで、実に1年に及ぶ時間を要した。そして、この挑戦でコンビニエンスストアへの納入を勝ち取ることができた。
「先方のニーズと、こちらが提供する商品がマッチできるかがポイントでした。ちょうどコンビニが地域色を出して差別化を図ろうとしている時期で、地域の特色を出す事例もありました。“のもの事業”と合致できる部分を見い出すことができたことがポイントだったと思います」。

地域社会とともに歩むパートナー

「私たちの事業は、モノを売ることがベースにあります。のもの店舗、卸売先の店舗、Eコマースで生活者の方々とつながり、この取り組みが地域に興味を持っていただくファーストステップになればいいなと思っています」。
今までのナショナル・ブランド商品を中心としたマーチャンダイジングの取り組みがあり、「おやつTIMES」開発の蓄積があって、それをOEM開発へ活かしてきている。現在、部署異動により商品選定・開発担当から会社全体の戦略策定へとより責任のある職務に就く彼女は、これからの地産品の販路拡大に向けた戦略を模索している。
「地産品メーカーさんで、魅力の出し方がわからなくて困っていたら、パートナーとして販路拡大に向けて一緒に絵を描いていきたいと考えています。小規模、少人数で商品開発を行う私たちだからこそ、しっかりとご相談しながら取り組んでいくことができます。利益追求を考えると、地産品の扱いはハードルが高いのですが、地域社会とともに成長していくJR東日本グループの理念を基盤として、事業に取り組んでいます」。
これから先の未来を予測するのは難しいだろう。だからこそ、地域社会とともに歩んでいけるパートナーとして、“のもの事業”は進んでいく。