幅広い人々に愛される
魅力あふれる鉄道グッズを生み出す

Business. 06
コンシューマー商品事業

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多種多様なグッズの企画開発に携わる

現在、JR東日本商事では「TRAINIART(トレニアート)」という鉄道関連グッズの専門ショップ4店とオンラインショップ1店を展開しているほか、雑貨店などへの卸売も行っている。取り扱う商品は車両や駅舎、キャラクターをデザインしたノートや筆記用具をはじめ、衣類、日用雑貨、食器、菓子や飲み物など多岐にわたる。新線や新駅の開業、他社線との乗り入れ開始などを記念したグッズなど、イベントにちなんだものも多い。
「Eコマースを含めて店舗が5つありますので、お客さまの声がたくさん届きます。ですから新商品の開発にあたってはお客さまの要望も考慮しますし、そのほかSNSや別の業界の情報から流行を取り入れることもあります」。
こう語る彼女は、オリジナルグッズの企画開発を担当している。アイデアが浮かぶとまず社内で検討し、それからメーカーに連絡を入れて生産の条件やコストなどを確認する。それで問題がなければデザインの作成および監修者によるチェック、サンプルの製造・確認を経て、生産に進むことになる。企画が出てから発売までは数カ月から半年ほどだ。

メインターゲットは「鉄分30%」

「TRAINIART」の1号店は2010年11月に開店したアトレ秋葉原店だ。アトレ秋葉原をオープンする際に「秋葉原らしい店」ということで鉄道に関連した店をつくろうという話になり、JR東日本商事に打診が来たのだという。
それまでの鉄道グッズはマニア向けとキッズ向けがほとんどだったが、より幅広い層に来てもらえるようにというコンセプトから、この店のメインターゲットは「鉄分30%」と設定された。「鉄分」というのは「鉄道マニア度」というべき要素で、興味はあるがコアなファンでもない「30%」という層を狙って商品を展開するわけだ。
2年後、東京駅構内にある「東京ステーションギャラリー」がリニューアルオープンする際にもJR東日本商事に声がかかった。ミュージアムショップとして秋葉原と同じような店を出してほしいとのことだった。「TRAINIART」の方向性が高く評価されたのだ。

鉄道のさまざまな楽しみ方を発信したい

彼女が開発に携わった商品の中で、特にヒットした商品としてマスキングテープが挙げられる。車両だけでなく駅舎や駅名標に関するものなどさまざまなバリエーションがあり、乗り場を案内する誘導標をプリントしたものも人気が高い。
「こういったステーショナリーは、20~40代の女性が自分用に買うケースが多いです。特段鉄道が好きというわけではなくても、デザインが可愛いし使いたい、コレクションしたいと思ってくださるのだと分析しています」。
鉄道に関心がなかった人々にグッズを買ってもらうことは、JR東日本のファンを増やすことにもつながる。
「鉄道の魅力はいろいろあって、身近で手軽に楽しめるものだと思います。そういったことを当社で発信して、ファンを拡大していきたいですね」。

経験を生かして、より魅力的な商品を

近年の新入社員は男女ほぼ半々で、女性社員が産休・育休を取るのも当たり前になっているという。自身も産休・育休を取得した彼女は、このときの経験についてこう語る。
「例えば赤ちゃん用のグッズで当社オリジナルのものをやってみたいなぁとか、新たなアイデアを得ることもありました。それに、一度仕事を離れてから戻ってくることで、社会とのつながりを改めて実感できました」。
現在は時短勤務で、子育てをしながら商品開発や販路開拓に取り組んでいる。JR東日本グループにはコンビニエンスストアなどの小売店が多くあり、新たな販路の開拓の余地は大きい。また、営業先から要望を受けて新商品を開発することもある。
「保育園の子どもたちを見ているとみんな電車が好きだなぁと実感するので、この子たちが喜んでくれるグッズも作れたらいいなと思います。そのほか、他社さんのグッズではなかなか見かけない誘導標のようなJR東日本グループならではの視点で生み出すデザインや商品をさらに増やし、幅広い鉄道ファンのさまざまな需要に応えられるようにしていきたいと思います」。